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2016-01-04

カレーリーフを届けに

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穏やかな年の初め、カレーリーフの苗木を抱えて南インド出身の友人一家を訪ねました。

カレーリーフの葉には独特の香りがあり、南インドやスリランカの料理には欠かせない食材です。どこの家にでもワサワサ生えていて買う必要もないものですが、日本に来て暮らす人たちにとっては生葉はおろか、香りがだいぶ飛んでしまった乾燥物の輸入品さえ、手に入れるのに一苦労。

近年、ごく限られたルートではありますが日本でも生葉が買えるようになり、私も仕事柄ときどき手に入るので、先日遊びに行ったとき少し手土産に持って行ったのです。
すると友人は、ビニール袋を開けるなり声にならない声をあげ、袋に顔を突っ込んで胸の奥まで香りを吸い込み、うっとりして大感激の面持ち。
用意していた食事に早速たっぷり入れてくれ、私などが貴重な葉っぱをいただいて申し訳ない気さえしたほどでした。

対照的だったのが子どもたちのリアクション。小躍りせんばかりの母親に驚いて「何それ~」と覗き込み、カレーリーフと聞いて「ふぅん…?」
産まれたときから日本で暮らす彼らの日常に、カレーリーフの生葉のあの鮮烈な香りはありません。思い出も、思い入れも。
そのことに気づかされて、思わず胸がきゅっとなる光景でした。

何の巡り会わせか、そんなことがあってすぐ、頼んだわけでもないのにカレーリーフの苗木をくれるという人が現れたのです。
インド料理教室のインストラクターコースで同期だった高瀬媛子ちゃんが、家に何鉢もあるのを分けてくれると・・・。もらいものの種や苗から自分で育てたものだそうです。

いただいた苗木は小さくて、まだ葉っぱを摘んで使えるようなサイズではありません。それでも、あれほど生葉を喜んでくれた友人にあげたいと思い、媛子ちゃんも誘って二人で年明け早々押しかけたのでした。

友人は今日も食べきれないほどの手料理で歓待してくれました。優しい味の南インド料理に大感激の媛子ちゃんのブログはこちら

そしてカレーリーフ!
ちょうど今の鉢がいっぱいいっぱいだったので、子どもたち二人に植え替えてもらいました。鉢の底に石を敷き、苗の上から土を少しずつ入れ、小さな手でトントン慣らして完成。
見守っていた友人は、そっと「無事に育ってくれるように神様にお祈りするわ」と。

南国の植物にとっては寒い日がまだしばらく続きますが、新しい鉢にうまく根を張ってくれるでしょうか。来年の今頃までもてば、ときどき摘んで使えるくらいのサイズにはなるのでしょうか。

子どもたちにとっては今日から、自分で植えた「私のカレーリーフの木」。

いつの日か、この葉の香りが、家族と囲む幸せな食卓の思い出につながるものとなるでしょうか。この香りとともにインドの大地で生きてきた、自分につながる多くの人たちとの絆として、胸の奥底まで吸い込んで愛しむ日がくるでしょうか。

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